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勇者たちへの伝言 いつの日か来た道

増田実

「爆笑問題」「くりぃむしちゅー」「ネプチューン」今やTVをつけて顔を見ない日がないくらいのそうそうたる芸人達である。

彼らの出世に一役買ったのが、かつて放送されていた「ボキャブラ天国」である事は間違いない。

ダジャレやコトバ遊びを題材にした視聴者参加型番組なのだが、なかなかのクオリティーをもって見事に笑わされたものである。その番組の後半に若手芸人数組がコトバ遊びのセンスを競い合うコーナーがあった。

前述3組はコーナーの常連であり、常に上位を争っていたと記憶している。


本書の主人公、50歳になるベテラン放送作家の工藤正秋はある日、阪急線に乗りうたた寝をしていた。その時、彼の耳に聞こえた車内アナウンスは「次は・・いつの日か来た道」であった。

そんな駅はもちろん無い。「西宮北口」である。「ニシノミヤキタグチ」「イツノヒカキタミチ」思わず飛び降りてしまった正秋。

彼にとって「西宮北口」の思い出は、子供の頃に一度だけ父に連れてきてもらった「阪急ブレーブス」のホームグラウンド「西宮球場」である。

もちろん現在その存在はなく、巨大ショッピングモールに姿を変えていた。思い出に引かれるようにショッピングモールに足を踏み入れた彼は、イツノヒカキタミチ・・過去の「あの日」へと誘われて行く。

「あの日」とはここへ父と初めて、そして最後に来た「あの日」である。

容姿だけが少年に戻った彼は父に現在の本当の歳を告白する。それを聞いた父は静かに自分の秘密について語り始めたのだ。そこから現在と過去とをつなぐ切なくも哀しい物語が展開されていく。

そして結末は・・・。


最近さわやかな涙を流してないと感じるあなた。ぜひご一読を。

 

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